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【小茂田浜神社】文永11年対馬における蒙古襲来始まりの地! 勇猛に挑んだ武将達を祀る日| 対馬市厳原町

長崎県の対馬は今はのんびりとした島ですが、その昔恐ろしい戦場と化した事は、歴史が好きな方ならご存じかもしれません。
また、2020年の夏に発売され、世界的に人気となったPS4のゲーム『ゴースト・オブ・ツシマ』でも主人公が絶望に落とされる最初の地であるので、プレイされた方には記憶に新しいかとも思います。

鎌倉時代の文永十一年、中国の蒙古民族が日本に攻め込もうとした際に最初に狙われたのがこの対馬でした。
その数およそ二万五千。迫ってくる船は九百隻という大軍勢です。
当時対馬の守護代と地頭でもあった宗資国公は、急激なその襲来に対して僅か約八十騎の兵士で挑み、無念にも散っていったというのが小茂田浜の戦いです。

小茂田浜神社はその宗資国公と戦死した武将達の霊を祀っている神社であり、毎年11月の第二日曜日には『小茂田浜神社例大祭』という彼らを偲んだ神事が執り行われています。
今回はその神事を取材させて頂く事が出来ましたので、細かくお伝えしていきます。

2020年11月8日。
朝、小茂田浜神社に行くと、神事に携わる方々が既に結構いらっしゃいました。
ふと横を通りすがった人を見ると、大きな魚がケースに入れられていました。

どうやら神事で捧げるお供え物のようです。
しばらくすると、一角に禰宜(ねぎ)さんや巫女さん達が集まってきました。
この日は天候も良く晴れて気持ちの良い日だったので、皆さんにこやかです。

しかし宮司さんがやってくると、一転、場の空気が静まりここから式が始まります。
まずは修祓(しゅばつ)といって、外で身体を清めてこれからの神事を執り行う為の儀式が行われました。

まずは神職さん達のお祓いをします。

続いて参拝の方々のお祓いもします。

お清めが終わったら拝殿へ入り、本祭が始まります。
でもそもそも神事ってどういう風に執り行われていくのでしょうか?
小茂田浜神社宮司の舎利倉様から貴重な資料を頂戴しましたので、ここに記載しますね。

……結構ありますね……!
事細かに決められている項目は、一見では読めないものばかりです。

■開扉(かいひ)■
神職の皆様が所定の位置に着かれ、御本殿に向かって一拝された後、御本殿の扉が開かれました。
『警蹕(けいひつ)』といわれる神職が発する『おおお……』という声と共に、開かれる扉。
この時は神職も参列者も皆低頭するのが習わしです。

かくいう私も取材のため本来ならばしっかりと撮らなければならなかったのですが、神様が現れるところを直視するなんて畏れ多かったのでカメラは向けつつ頭を下げていたら折角の動画がブレブレになってしまった事をここに記しておきますね。

お直りください、のお言葉の後正面を向きました。
意外な事に開かれた扉の向こうは何もなく、台があるだけでした。
そしてこの台にお供え物が捧げられていきます。
実はその奥にもう一つ扉があり、その中に御神体が祀られてあるそうです。

■献饌(けんせん)■

お米やお酒、先ほど見た魚など一つ一つ丁寧に受け渡されていきます。
結構重たそうな物もあるのですが、それを淡々と持ってしまう神職の方々、すごいな……。

そして奉幣(ほうへい)司さんが神事を行い、続いて宮司さんの祝詞(のりと)が奏上されます。
祝詞の時には全員が平伏するのですが、拝殿の入口で立っていた筆者が振り向くと……。

参拝の方々も低頭されていらっしゃいました。
筆者はこういう場面が何気に好きです。
もちろん皆信心があるから参拝されるのだとも思いますが、一人一人がきちんと礼を持って臨む姿は素敵だなぁと思います。

■神楽奉納■
祝詞が終わると神事の華やかな部分である『神楽』が巫女さん達によって舞われます。
まずは『命婦の舞』。
対馬独自の舞です。

巫女さんの筆頭の方でしょうか。
流れる音楽に合わせて両腕が上品に動き、伝統の趣が感じられます。
次は『浦安の舞』といって、なんとまだ中学生だという巫女さんがお二人、舞われました。
(以下動画。音量注意)

しゃん、という鈴の音が神聖かつ見事な合わせ。
うう、こんなに小さい子なのに凛とした佇まいが美しい……しっかりと練習したんだね。
勝手に親心になって感動する筆者。

例年は歌姫の方が舞の音を奏で、巫女さんが四人くらいいらっしゃったりするそうなのですが、年々と対馬の人口減少に伴い出来る子供達も少なくなってきているとのことです。

■玉串奉典■
神様に拝礼すべく、宮司さんから始まり神社総代、参列者、区長さんが玉串を持ってご挨拶されていきます。

粛々と進む神事ですが、例年とは違う部分がここにも。
2020年は新型のウィルスが流行った事で、この『小茂田浜神社例大祭』も縮小され、本来ならばこの玉串奉典にも蒙古と戦った筆頭である宗家の君主の方、武者のご遺族の方々も参列されるという事でしたが、今回は見合わせられたそうです。

■撤饌(てっせん)■

式も終わりに近づき、お供え物は元に戻されていきます。

■閉扉■
扉が閉められます。
またしても筆者低頭してるので、ブレブレですが……神妙なる警蹕はこういう感じです。
(※以下動画 音量注意)

そして最後に宮司さんが一拝されて、御本殿での神事が終了です。

皆さん一旦はほっと一息。
宮司さんのお目元が柔らかくなっているのがお判りでしょうか。

でも!
例大祭はこれで終わりではないのです。

■濱殿祭■
小茂田浜神社からすぐのところにある海。
その浜の一角に祭場が設けられてそこで御本殿の流れと同じく修祓から始まり献饌や祝詞奏上、玉串奉典が執り行われます。

濵殿祭の神事では『鳴弦(めいげん)の儀』という宮司さんが海に向かって弓を構えて三度弦を穿つ事や、武者奉行の方々が凱歌を挙げられたり、『小茂田浜の歌』を参列の方々を始め参拝者の皆様と合唱されたりすることが独特の儀式となっています。

なんとも立派な武者行列。
実際に蒙古と戦った武者の末裔の方が主に参加されるそうです。
エイエイオー、と武者達が凱歌の声を上げるのは圧巻だとか。

でも……前述の通り2020年の例大祭は縮小されていたので、濱殿祭は行われず……上の三つの写真は小茂田浜神社の宮司さんより拝借したもの……筆者は体験できませんでした。
しかも本当は神社の周りには出店が並んで結構楽しい感じになるんだとか。
うう、色々食べたかった……。

それでも、取材させて頂いた神事は筆者の心にとても残るものとなりました。
二万五千対八十……絶望的な中で果敢に立ち上がった宗助国公は御年六十八だったそうです。
称えた像が、今日も小茂田浜神社と小茂田浜を見守ってくれています。
ところでこの銅像……対馬の個人の方からの寄贈だそうです……。
え……銅像って個人で寄贈できるものなの……凄……。

最後は神社でも配られたり、地元で販売される豆餅の写真!

ちょっとブレちゃった 笑。
この豆餅、本来はおはぎのように甘いお餅になるはずでしたが、作ってる最中に蒙古が襲撃して来ちゃったから甘くして濾してる暇なんてねぇ! とばかりに塩ゆでのままの小豆をお餅にまぶして出来上がったものらしいです。
絶妙な塩加減にお米の甘さが際立って、ついつい食べ過ぎてしまいます。

対馬に行かれたら是非この小茂田の地にも立ち寄られる事をお勧めします。
神社も素敵ですし、あと小茂田浜から見る夕日がとても綺麗なんですよ。

【POINT】
豆餅はこの例大祭の時だけしか食べられないレア食品ですぞ!

【旅行日程】
対馬旅行日程はこちら

* 小茂田浜神社 *
Address:長崎県対馬市厳原町小茂田742

【オススメの行き方】
やまねこ空港から車で30分(約19km)
厳原港から車で20分(約13km)

◆こちらの記事は2020年11月の情報を元に作成されたものです◆